香りの散歩道


猫間障子

墨絵・朝野泰昌
「朝野家 香りの散歩道」
この番組は、山陰 湯村温泉、朝野家の提供でお送りします。

今日のお相手は、私、木村匡也です。
みなさんのお宅には、障子がありますか。
俳句の世界では、障子は冬の季語。
明治生まれの文豪・芥川龍之介は、
「冬の日や 障子をかする 竹の影」という句を詠みました。
白い障子に映った竹の影が風にゆれている、冬の日の光景が浮かんできます。

今の季節なら、雪見障子(ゆきみしょうじ)も風情があっていいですね。
障子の下の部分にガラスがはめこまれ、部屋に居ながら外の景色を楽しむことができます。
この障子は、畳に座ったときの目線で、雪景色が美しく見えるようにデザインされました。

雪見障子とよく似ているのが、猫間障子(ねこましょうじ)。
その名の通り、猫が通り抜けられるように、開け閉めができる小さな障子がはめこまれています。
起源は古く江戸時代にはすでにあったそうです。
部屋を閉め切っていると、障子紙を破いて出て行こうとするため、猫用の扉としてつくられました。

さて話は17世紀のイギリスに飛ぶのですが、万有引力の法則を発見した科学者のアイザック・ニュートンが、猫用の扉の発明者だという伝説があるのです。
飼っていた猫が出たり入ったりするたびに、いちいちドアを開けるのが面倒になって、ちょうど通り抜けられるくらいの穴を開けたのだとか。

猫間障子をつくった江戸の職人と、ドアに穴を開けたイギリスの科学者。
どちらの扉にも、自由気ままに生きる猫への愛が感じられます。


*毎週水曜日・FM山陰.他で放送中  ↓mp3です。 wmp等でお聞き下さい。


『朝野家・香りの散歩道』は朝野家提供で、

毎週水曜日FM山陰(16:55~17:00)放送、日本海新聞に掲載されます。



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